第6回の対談は令和2年度会長池田卓史君と令和3年度会長辻野康仁君の新旧会長対談が実現しました。
大自青のこれからと会長としての1年間を振り返っていただきました。
令和2年度を振り返って
池田 コロナの影響でほとんど休会になるであろうと予想された中で、もう1年唐原さんに会長を続けていただく話もありましたが、いただいたバトンなので引き継ぐことを決心しました。しかしやはり辛い1年になりましたね。皆さんに描いていただいた絵をカタチにできない、延期や中止をお願いすることが本当に辛かったです。会全体に苦渋の決断をさせ続ける1年でした。ですがこの苦しんだ1年は、大自青にとっても我々経営者にとっても、意味のある1年だったと思います。中原さんがおっしゃっていたことですが、縮んだバネは伸びるしかない。将来に向けて羽ばたく準備だったのだと思っています。
辻野
大自青は非営利団体なので、はっきりとした目的意識がないとこういう状況で続けていくのは難しいと思います。誰も経験したことのないコロナ禍の中でどうすればいいか誰にもわからない中で、会を止めずにいられたのは池田会長のおかげだと思います。池田会長じゃなかったら、全く違った1年だったでしょう。
コロナ禍でもなんとか集まって議論して自分達で回答を出すことに関しては謙虚さを持ちながら進んでいけた印象があります。この1年で無駄だったことは何一つない。会議体を通じて学んだことはたくさんありました。
池田 今年度の一歩一歩はとても重かった。それだけにみんなが当事者意識を持ってものすごく考えたと思います。これは次年度以降に絶対に力になると思う。全員の意識が上がっていると感じました。
次年度へ引き継ぐにあたって
辻野
令和3年度の前半は、コロナを考慮し皆さんの安心安全を第一に活動していきます。去年の4月と今年の4月は何が違うかを考えると、対応策がわかってきたことが大きいです。ソーシャルディスタンスなど、一定の対策を取れば集まることに対してそこまでリスクを孕んでいないと考えています。なので、方法はいろいろありますが集まることに執着したい。そしてどうせ集まるなら、楽しくみなさんの事業にも役立つ内容で集客・イベント力などをシェアしたいです。
非営利団体である大自青で「集まる意義」とは何なのか?を考えたときに、生の音や声の力はすごいんだと実感しました。去年の大阪の自動車整備学校のことがとても印象に残っていて。実際学生の顔を見て触れあっていると、未来の人材に対して私達ができることはたくさんあるのではないか、もっと大自青のことも知ってもらって、若い人材と深く関わっていきたいと思いました。大自青には技術がある方もたくさんいるので、技術者と学校との間で一緒に何かできないか、若い人たちに伝えられることがたくさんあるのではないかと考えています。深く関わることができれば、リクルーティングの際も興味を持って話を聞いてくれると思います。
池田 とても面白いですね。例えば我々が授業をやって、実際の仕事でどんなことをしているかや、どんな車を扱うかなど、実際に仕事としてやってみないとわからないことを教えることができますね。
辻野 そうですね、彼らは彼らの情報をたくさん持っているし、交流を通してベテラン勢も新しい情報を得ることができます。アンケートの結果、実際の仕事内容が何をしているかはあまり知られていないようなので。私たちからも伝えていく必要があるのではないかと思います。
池田 実際に採用で来てくれた子もいますよね。その子にはそのコミュニティーがあるし、新しい情報をたくさん持っているので、お互いのためにすごくよかったと思います。私達にとって、入ってきてくれた子は宝物です。いかにして僕たちが教える能力を高めていくかが重要だと思います。その子をどう育てていくか、こちらの教育方針でその子をつぶすようなことは絶対にありません。大手やディーラーでしか経験できないことももちろんあるけど、ディーラーでは体験できないようなこともここでは経験できる、ということもたくさんあります。
辻野 そうですね。私たちは中小企業なので、できないことや経験させてあげられないことももちろんあるし、強みもそれぞれ違う。そこは大自青の繋がりを活用して、各社で情報を共有したり、悩みを相談したりすることができます。弱みに見えることでも、大自青で横断的に対応することができるので、強みに変わると思います。
池田 今後も勉強会などで情報共有していきたいですね。いろんな強みや悩みを持っている人がたくさんいる中で、興味があることもそれぞれ違います。ひとつ難しいのは、会として開催するとなると、浅く広く全員に興味があることに絞られてしまうことです。そこは会にこだわらずに、任意で開催することでもっと深い内容に踏み込んだ勉強会も開催していきたいです。
新会長に期待すること
池田
辻野さんがやりたいこと、具現化したいことを突き詰めていってほしいと思っています。辻野さんらしい1年になれば全員にとって実りのある1年になると思います。
アドバイスとしては、これは自分も苦労した部分でしたが、自分で抱えすぎないこと、ひとに任せることも重要だということです。今のメンバーは当事者意識が強いので、信じて任せていくことも大切だと思います。経営と一緒ですが任せることも責任だと考えています。きっとみんな辻野さんから任せられることを待っていると思いますよ。次は私が会長を支える立場なので、直前会長としての役割をしっかりと果たしていこうと決心しています。
自動車業界について
池田 「業界を盛り上げる」ということに切り込もうとすると、ちょっと棚卸をして、整備業界なのか自動車業界なのか、ということから考えることになるかと思います。
辻野
そうですね。私がイメージしているのは「町の整備工場」です。地域に根差している会社が多い中で、地域から愛されなかったら経営している意味がないと思っています。「あそこの自動車屋さんに行ったら何とかしてくれる」という役割を担っていきたいです。これは自分のビジネススタイルとしてですが、多店舗展開や多角化ではなく、「町の自動車整備業」を突き詰めていきたいと思っています。
私たちはお客様の一生の担当者ですから、私たちにとっての自動車業というものを再考する必要があるかもしれないですね。それを大自青で考えていきたいです。僕らが「自動車業界」と発したときは「町の自動車整備業」としてのイメージが強いと思います。地域に密着してぼくたちが輝くことが業界を盛り上げることになると思います。
池田 地域密着をもっと深堀したら「お客様へのサービス」ですよね。どれだけメーカーが電気自動車を生産したり、車がコンピューターで管理される方向になっても、今目の前にいるお客さんが取り残されていては意味がない。そこには僕達の力が絶対に必要です。実際のお客さんに求められる自動車屋であり続けないといけないと思っています。
辻野
「車屋とは」と考えたときに、お客さんが喜んでくれることは積極的にやっていくべきだと思います。車屋だからできない、してはいけないことはないと思う。例えば最近の話でいうと、「カラスにゴミが荒らされているので何とかならないか」と電話がかかってきたときは嬉しかったですね。普通自動車屋にそんな電話しないので、地域の方に「ここならなんとかしてくれる」と思っていただけているところが嬉しかったです。
これからの整備業界、そんなに暗くないですよね。ですが暗いところがあるとすれば廃業の問題があります。これは仕方のないことですがこれから増えていくでしょうね。
池田
廃業ですごく問題なのが、事業継承がされないままに廃業してお客さんがなおざりにされることです。突然の廃業でお客さんの行き場がなくなってしまったり、気が付かずに車検が切れていた、なんてこともあり得ますからね。
自分で一念発起して整備屋を立ち上げた方々には、車屋という意識が強い方が多いので、経営に対する認識が薄かったりもします。外部に助けを求めることも難しかったり言いにくい雰囲気があったりするので、お客さんを守るために私達でなんとかしていくことが必要ですね。
辻野
本来は廃業する半年から1年くらい前から自社で対応していたお客さんを受け継いでくれる会社を探して、事業継承する準備をし、お客さんに挨拶に行ったり引継ぎなどをして、ようやくシャッターを下ろすというのがきれいな流れです。ですがこの業界の中には、自分が苦しくても誰かに助けを求められない人も多いのが現状です。そこを考える年になってきていると感じるので、それをこちらから先に投げかけてあげる取り組みも必要だと考えています。
ただ、助けるとなった時に、じゃあそこの会社の事業を全て継承できるかとなったら厳しいと思うんです。そこで大自青が大きな役割を担うと思います。現状そう言った声はあるので、これからしっかり準備していく必要があると思います。
池田 僕達でタイミングを作っていく必要がありますね。そういう意味では、人材の採用から廃業のサポートまで、今までにない1年になりそうですね。
令和3年度の会長として
辻野
会員拡大は私の使命だと思っています。町の整備屋としてこれからの事業を支えて盛り上げていくためには、やはり人が必要です。大自青は入ってみないとわからないことも多いと思うので、そこを上手くアピールし、一人でも多くの経営者の方と一緒にこれからの業界を作り上げていきたいと思います。また、どうしても活動的なメンバーとそうじゃない層が出てきてしまうので、みんなが主体的に動けるように促していきたいです。あまり発言が無い方にも発言の機会を持っていただくなど、積極的に参加できる環境にしていきたいです。
あとは、私が一番楽しみます。積極的に笑いに行くつもりです。「会長がこれだけ楽しそうにしてるならやってみよう」と周りの人に思ってもらって、笑いが伝染していくような環境を作りたいです。全員にとって楽しい1年になるよう努めていきたいと思っています。
株式会社辻野モータース
令和3年度会長辻野 康仁
オカダ自動車工業株式会社
令和2年度会長池田 卓史